ひざ小僧が先生に聞くVol.4 | いいひざ.jp - 膝(ひざ)の痛み・関節の痛み・変形性膝関節症情報サイト
Vol.4 2011年10月7日UP
変形性膝関節症の
治療法は1つだけ?
いいえ。
ヒアルロン酸関節内注射をはじめ、患者さんの症状に合わせた、さまざまな治療法があります。
近畿大学医学部奈良病院
宗圓 聰 先生
まずは、筋肉を鍛えましょう。運動療法は変形性膝関節症に効果的です
変形性膝関節症は、一旦発症してしまうと長くつきあっていく必要のある病気です。痛みが強くなって日常生活が制限される前に、早めに治療に取り組み、病気の進行を抑えたいものです。
現在、変形性膝関節症の治療において、多くの患者さんで効果があると推奨されているのが運動療法です。「ひざが痛いのに運動をしなければいけないの?」と思うかもしれませんが、変形性膝関節症では、痛いからとひざを動かさずにいると足の筋肉が衰え、余計に関節が動きにくくなって痛みが増すという悪循環に陥ってしまいます。
運動療法といっても激しいスポーツをするのではありません。これまでの研究では、大腿四頭筋という太ももの筋肉を鍛えることで、変形性膝関節症の進行を抑えることができる、ということが分か� ��ています。
ペルーの途方もない咳の症状
大腿四頭筋を鍛える方法としては、椅子に座って片足ずつゆっくりつま先を上げ、ひざを伸ばすだけでも効果が得られますし、体力のある方なら足首に重りを巻きつけてより筋肉に負荷をかけるなど、自宅にいても実践できる方法が色々あります。
筋肉を鍛えると同時に、肥満の方では体重を落とすことも、ひざの負担を減らすためには効果的です。体の大きい力士は現役時代の激しい稽古や取り組みの結果、軟骨がすり減ってしまっている方が多いのですが、現役時代の厳しい稽古の成果として得られた強靭な筋力と引退後の減量のおかげで、高齢になるまで痛みなどの症状があらわれないまま過ごされる方も多いといいます。
痛みから動かなくなる、� �れによりさらに病気が進行するという悪循環をたちきるためにも、運動療法にはぜひ取り組んでください。
ひざを動かすことがつらい場合は、痛みを改善する治療を行います
変形性膝関節症が軽症の場合、運動療法だけで症状が改善される方もいらっしゃいます。しかし、ひざを動かすことで強い痛みを感じたり、日常生活に不便を感じたりするような患者さんでは、痛みをやわらげる目的で薬物療法を行います。
現在、医療機関において行われる薬物療法は、非ステロイド性消炎鎮痛薬の投与と、ヒアルロン酸関節内注射が中心となっています。
非ステロイド性消炎鎮痛薬は、いわゆる「痛み止め」と呼ばれ、ひざの腫れや痛みを改善するために使用する薬剤です。外用薬(塗り薬、貼り薬)と内服薬(飲み薬)の2種類があり、内服薬は飲むと短時間で痛みが軽くなるという特徴がありますが、副作用として胃や十二指腸などの消化管に潰瘍ができる場合があります。また、潰瘍ができても 自分で気づきにくいため、飲み続ける場合は注意を必要とします。
上部の股関節痛
ヒアルロン酸関節内注射は、ひざの関節液や関節軟骨に多く存在するヒアルロン酸という成分を注射によって補う方法で、効果が長く続き、副作用も少ないとされています。
ほかにも、電気を当て血流を改善する電気治療や温熱療法、O脚を矯正する足底板、ひざを固定するサポーターなど、変形性膝関節症の痛みを軽減する治療法にはさまざまなものがあります。
このような治療をしっかりと行っても効果が得られず、痛みが増して生活への支障が大きくなるような患者さんでは、人工関節に置きかえるなどの手術を行うことも選択肢の1つとなります。
痛みを改善するだけでなく、進行抑制が期待できる治療法もあります
変形性膝関節症は、年齢とともに徐々に進行していく病気ですから、変形した関節を若い頃のような状態に戻すことはできません。
変形性膝関節症の患者さんに行われる治療法も、基本的にはひざの痛みをやわらげることを目的とするものですが、ヒアルロン酸関節内注射にはひざの痛みをやわらげるだけでなく、軟骨のすり減りを抑えるはたらきがあるとされています。このはたらきにより、変形性膝関節症の進行を抑える効果も期待されているのです。
ヒアルロン酸は、関節の内部を満たしている関節液の主な成分で、関節の中で潤滑油のような働きと、衝撃を吸収するクッションのような役割を果たします。このヒアルロン酸を関節内に直接注入して補うのがヒアルロン酸関節内注射で、医療機関の外来で薬の種� ��によって1週おきに3回から5回、ひざに直接注射することで、長期間症状をやわらげることができます。
すべての患者さんがこの治療法で進行が抑えられるわけではありませんが、ヒアルロン酸関節内注射に筋力強化をあわせて行うことで、病気の進行を遅らせることができる患者さんもいらっしゃいます。
咳と頭痛
関節の変形は元通りにできなくても、日常生活に支障を来たさないレベルまで痛みをやわらげ、進行も抑えることができれば、病気を発症する前と同じような生活を送ることも不可能ではありません。「そのうち歩けなくなる」と悲観せず、医師と相談して前向きに治療を行いましょう。
医師と相談して、自分にあった治療法で疾患とうまくつきあっていきましょう
この病気は一般的に肥満の方がなりやすいといいますが、やせ型の方もおられますし、生まれつきの足の形や筋力など、病気に関連する要素に関しては個人差が大きいと感じています。ひとくちに変形性膝関節症といっても、医師の立場から見ると患者さんの状態はさまざまなのです。
ほかにも、住居が1階か上層階かでひざを使う状況は大きく異なります。仕事でひざを使うことが多い方の場合、酷使しないで下さいと言っても無理な場合があるでしょう。なかには、レントゲンを見ると手術をしないといけない状態なのに、筋力が強いためまったく痛みを感じない方もおられ、そのような場合は積極的な治療を必要としないこともあります。
このような個人差がありますので、症状やライフスタイル、患者さん自身の 病気に対する考え方なども含め、ご本人に合った治療法を選ぶことが重要といえるでしょう。
われわれ医師も、変形性膝関節症の患者さんについては定期的にレントゲンを撮って進行具合を確認しますが、そこで確認される病気の進行度よりも、患者さんの痛みと生活の不自由度を優先して治療法を選択するようにしています。つまり、患者さんが「これでいい」と満足するレベルまで持っていくのが、治療のゴールだと考えているわけです。
変形性膝関節症の治療は運動療法、薬物療法が中心となりますが、患者さんによってさまざまな組み合わせが考えられますので、自分にあった治療法を医師と相談し、病気とうまくつきあっていきましょう。
今回、お話をうかがった先生
近畿大学医学部奈良病院
整形外科・リウマチ科
宗圓 聰 先生
近畿大学医学部奈良病院
奈良県生駒市乙田町1248-1
次回は
「ひざが痛いときは、運動を控えた方がいい?」を先生に伺う予定です。
お楽しみに。
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